昨年、2025年9月18日にアメリカのアメックスプラチナは、年会費695ドルから895ドルへ値上げされました。上げ幅は200ドル、率にすると約28.8%です。
直近の2026年7月31日時点のレートでは1米ドル=160.72円(三菱UFJ銀行公表の仲値)で、895ドルは約14万3,800円です。
「約14万4,000円なら、日本の16万5,000円より安い。それでも世界で値上げが続くなら、日本も次に上がるのでは?」と気になる人は多いでしょう。
先に結論をまとめると、
- 2024年1月から2026年8月3日までに、本家の個人向けプラチナで値上げを確認できたのは少なくとも5カ国
- 2026年10月にはオランダも値上げ予定
- 英国とシンガポールにも2024年の年会費上昇はあるが、前者は2023年発表分の反映、後者は増税分なので別扱い
- 日本の16万5,000円はすでに世界的に高い水準で、2026年7月のサービス改定でも据え置かれた
- 日本の直近の値上げ可能性は低め。ただし、中期的にはゼロとは言い切れない
今回の記事では、各国の年会費を7月31日時点のレートで円換算し、事実と予測を分けながら「日本は年会費の値上げはあるのか」を考えていきます。
為替レートについて
2026年8月3日に日米間の為替介入によって相場が大きく変動したため、今回の円換算には直前営業日である7月31日の三菱UFJ銀行が公表する仲値(TTM)を利用します。換算レートは、1米ドル=160.72円、1ユーロ=185.12円です。その他の通貨も7月31日の仲値で統一しています。為替レートは随時変化いたしますのでご注意ください

比較対象は「本家・個人向け プラチナカード」に限定
国によって、アメックスには個人カード、ビジネスカード、提携カード、銀行発行カードなどがあります。
比較対象を広げすぎると条件が揃わず、調査も複雑になります。
今回は、各国のアメリカン・エキスプレスが直接発行する個人向けの基本商品「プラチナカード」に限定しました。
対象外にしたものは次のとおりです。
- ビジネスプラチナ、コーポレートプラチナ
- 航空会社やホテルとの提携カード
- 他社銀行が発行するアメックスブランドのカード
- Platinum Creditなど、基本商品と性格が異なる別商品
- 招待制のセンチュリオンカード
また、税の扱い、家族カード、付帯特典、現地の物価や所得水準は国ごとに異なります。
日本円への換算は「価格の位置」を見るための目安であり、カード価値の単純なランキングではありません。
2024年以降に値上げしたのは少なくとも5カ国
公開されている公式資料と業界報道を再照合すると、2024年1月1日から2026年8月3日までに値上げを確認できたのは、フランス、インド、イタリア、米国、スウェーデンの5カ国でした。
| 国 | 値上げ時期 | 旧年会費 → 新年会費 | 値上げ率 | 新年会費の円換算 |
|---|---|---|---|---|
| フランス | 2024年7月1日 | €660 → €708 (月€55 → €59) | 約7.3% | 約13万1,100円 |
| インド | 2024年10月8日 | ₹60,000 → ₹66,000(税別) | 10.0% | 約11万1,500円+税 |
| イタリア | 2025年5月15日以降 | 既存発行分: €720 → €780 新規発行分:€840 | 約8.3%/ 最大約16.7% | 約14万4,400円/ 約15万5,500円 |
| アメリカ | 新規:2025年9月18日/既存:2026年1月2日以降の更新 | $695 → $895 | 約28.8% | 約14万3,800円 |
| スウェーデン | 2026年7月1日 | SEK 7,800 → SEK 9,000 (月650 → 750) | 約15.4% | 約15万1,700円 |
※円換算のレートは2026年7月31日の三菱UFJ銀行が公表する仲値です(1米ドル=160.72円、1ユーロ=185.12円。その他の通貨も同日基準)。インドは公式表示どおり税別です。
最大の上げ幅はアメリカの約28.8%
アメリカは695ドルから895ドルへ、200ドルの値上げです。
5カ国の中で値上げ率・金額ともに最も大きく、アメックスは同時にホテル、ダイニング、ショッピングなどのクレジットを拡充しました。
公式発表では、利用可能な年間特典の価値を3,500ドル超(約56万円)としています。
ただし、クレジットは「対象店で、対象期間に、実際に使う」ことで初めて価値になります。
額面上の特典価値が増えたからといって、すべての会員が値上がりした200ドル分を回収できるわけではありません。
イタリアは発行日で年会費が分かれる
イタリアは少し複雑です。公式の料金資料では、2025年5月14日までに発行されたカードは年780ユーロ、5月15日以降の発行分は年840ユーロと記載されています。
改定前の年会費は720ユーロでした。そのため、既存発行分は約8.3%増、新規発行分を旧水準と比べると約16.7%増です。
全会員が一律840ユーロになったわけではない点に注意してください。
フランス、インド、スウェーデンも段階的に上昇
フランスは月55ユーロから59ユーロ、インドは税別6万ルピーから6万6,000ルピー、スウェーデンは月650クローナから750クローナへ上がりました。
アメリカほどの急騰ではありませんが、7〜15%台の値上げが複数市場で続いています。
「一つの国だけの事情」ではなく、プレミアムカード全体で価格を見直す流れがあることは確かです。
次はオランダ、2026年10月から年900ユーロの予定
オランダでは、2026年10月1日から月65ユーロを75ユーロへ引き上げが予定されています。
年額では780ユーロから900ユーロ、約15.4%の上昇です。
2026年8月3日時点の公式申込ページは、まだ月65ユーロを表示しています。
そのため、実施済みの5カ国には含めず、値上げ予定の1カ国として扱います。
900ユーロを7月31日の仲値で換算すると約16万6,600円。日本の16万5,000円を約1,600円上回りますが、ほぼ同水準です。

他の国も調査すると、2つの事例があり
今回の調査で指定された国以外も確認したところ、2024年に表示上の年会費が上昇した国として、イギリスとシンガポールが見つかりました。
シンガポールは増税分だけ上昇
シンガポールは2024年1月1日、年会費がS$1,728からS$1,744へ上がりました。上昇率は約0.9%です。
公式規約には、8%のGSTを含むS$1,728から、9%のGSTを含むS$1,744へ変わると明記されています。
現在のS$1,744は円換算で約21万8,400円です。
つまり、アメックスが税抜きの本体価格を引き上げたのではなく、GST(Goods and Services Tax:物品サービス税)の税率変更が反映されたものです。
国の税率の変更が大きく影響しているため、今回の「発行会社による値上げ5カ国」には加えませんでしたが、日本よりも年会費が高く設定されています。
イギリスは2023年発表分が2024年の更新に反映
イギリスの年会費は575ポンドから650ポンドへ、約13.0%上がりました。
既存会員には2024年2月29日より後の更新から新年会費が適用されています。
しかし、値上げの発表と新規会員向けの価格改定は2023年です。
今回の記事では、調査期間を「2024年以降に決まった値上げ」としているためイギリスは対象外ですが、年会費が大きく引き上げられたのは紛れもない事実です。
円換算すると、日本は高いが世界最高ではない
その他の国の現在の年会費も確認しました。
2024年以降の新たな値上げを公開情報で確認できなかった国や、値上げが調査期間外だった国を含みます。
| 国 | 現在の年会費 | 円レート換算(目安) | 備考 |
|---|---|---|---|
| シンガポール | S$1,744(GST込み) | 約21万8,400円 | 2024年は増税分のみ上昇 |
| メキシコ | $1,300+IVA | 約20万8,900円+税 | 2024年以降の値上げは確認できず |
| 香港 | HK$9,500 | 約19万4,700円 | 値上げは2023年 |
| タイ | THB 40,000(税込) | 約19万2,400円 | 2025年刷新時も年会費据え置き |
| 日本 | 16万5,000円(税込) | 16万5,000円 | 2026年刷新でも据え置き |
| オーストラリア | A$1,450 | 約16万3,800円 | 2024年以降の値上げは確認できず |
| イタリア | €840(新規) | 約15万5,500円 | 2025年値上げ |
| スウェーデン | SEK 9,000 | 約15万1,700円 | 2026年値上げ |
| アメリカ | $895 | 約14万3,800円 | 2025〜2026年値上げ |
| イギリス | £650 | 約14万600円 | 2023年発表、既存は2024年反映 |
| フランス | €708 | 約13万1,100円 | 2024年値上げ |
| カナダ | C$799 | 約9万1,600円 | 値上げは2023年 |
※今回の記事では2024年以降に値上げされた国に特に焦点を当てています
日本はアメリカ、フランス、イタリア、スウェーデンより高い一方、オランダの予定価格は日本を約1,600円上回ります。また、シンガポールや香港なども日本より高額です。
したがって、アメックスプラチナに関して「日本の年会費は世界最高ではないが、世界的には明らかに高いグループ」です。
なお、現地ごとに無料の家族カード枚数、ラウンジ同伴者、ホテル・ダイニングクレジット、旅行保険、税の扱いが違います。
為替が動けば円換算の順番も変わるため、金額だけで優劣を決めることはできません。
なぜアメックスプラチナは世界で値上げされるのか
ここからは確認できた事実を基にした分析です。
1. 特典を増やし、年会費も上げる「大型刷新」が増えた
アメリカやインドでは、年会費の引き上げと同時に旅行、ホテル、ダイニング、ショッピング特典が追加されました。
アメックスはアメリカの2025年刷新を「過去最大の投資」と説明しています。
プレミアムカードは、安さで競う商品ではありません。特典の総額を増やし、高い年会費を払ってでもカードを利用する顧客を残す戦略を立てていくと考える方が自然です。
2. ラウンジやホテル、保険などの提供コストが上がりやすい
アメックスプラチナでは、空港ラウンジ、ホテル上級会員ステータス、ダイニング、旅行保険など、外部のパートナーとのサービスを束ねています。
物価や人件費が上がれば、これらを維持するコストも影響を受けます。
ただし、各国の値上げ理由をアメックスが一律に「インフレの影響」と説明しているわけではありません。
3. 年会費を「サブスク」として受け入れる層を狙っている
アメックスは自社を「グローバルなプレミアム決済・ライフスタイルブランド」と位置づけています。
アメリカの刷新でも、旅行だけでなくダイニング、ウェルネス、ショッピングなど、幅広い分野でのクレジットを増やしました。
一つの強い特典だけでなく、複数のクレジットを毎月・半年ごとに使わせる設計は、カードを生活に組み込むサブスクリプション型に近いものです。
年会費が上がっても解約されにくい会員を増やす狙いが見えます。
日本でも値上げされる?直近は低め、中期は否定できないか
【事実】日本は2023年に一度、15.4%値上げしている
日本の個人向けプラチナカードは、2023年9月に年会費14万3,000円から16万5,000円へ上がりました。
上げ幅は2万2,000円、率にすると約15.4%です。
今回の調査期間より前ですが、日本だけが長く据え置かれてきたわけではありません。
【事実】2026年7月の大型改定では16万5,000円を据え置き
2026年7月のサービス改定では、アメックスは年会費を16万5,000円のままで変更しませんでした。
一方で、ホテル上級会員の対象拡大やダイニング還元の強化に加え、年間500万円利用時の追加の無料宿泊特典(プレミアムフリー・ステイ・ギフト)や10万円分のエアライン・クレジットが設けられました。
その反対に、2 for 1 ダイニングの終了、海外旅行保険の自動付帯から利用付帯への移行などもあります。
つまり、単純な「値段据え置きで特典だけ増量」ではなく、年会費は維持しつつ、高額決済する会員に価値を提供する再設計が行われました。
【予測】少なくとも直近の再値上げは考えにくいか
2026年7月に「年会費は変更なし」と明示した大型改定を行った直後です。
日本の年会費はすでに主要市場の中で高く、2023年の値上げからも約3年しか経っていません。
この3点から、少なくとも直近で再び値上げする可能性は低めと考えます。
2026年8月3日時点で、日本の年会費引き上げに関する公式発表も確認できません。
【予測】中期的な値上げはゼロではない
一方で、将来まで16万5,000円が固定される保証はありません。
- 世界の複数市場で7〜29%の値上げが続いている
- 日本にも2023年の値上げ実績がある
- 円安が長期化すれば、海外ラウンジやグローバル特典の円換算コストが重くなる可能性がある
- 次の大型刷新で、特典追加と年会費改定を同時に行う余地がある
特に注目したいのは、値上げだけが単独で来るかではなく、次回の特典刷新とセットになるかです。
アメリカやインドの例を見ると、「年会費を上げる代わりに、使途の決まったクレジットを増やす」形が一つのパターンになっています。

今できることは「値上げ前に急いで入会」ではない
日本では値上げ自体が発表されていないため、海外のニュースだけを理由に入会を急ぐ必要はありません。
すでに持っている人は、更新前に次の3点を確認する方が実用的です。
- 過去12カ月の間に、無料宿泊、ラウンジ、ダイニングなどの特典をどれだけ利用したか
- 年間500万円の利用条件を無理なく達成できるか
- 2026年の終了・変更特典を含めても、16万5,000円を上回る価値が残るか
海外旅行保険は2026年10月1日から利用付帯へ変わるため、「持っているだけで保険が付帯される」と思い込まないことも大切です。
なお、海外旅行保険の利用付帯については過去記事でも解説していますのでぜひご活用ください。

まとめ|日本はすぐ上がりにくいが、次回刷新は要注意
2024年以降、アメックス本体発行の個人向けプラチナで値上げを確認できたのは、少なくともフランス、インド、イタリア、アメリカ、スウェーデンの5カ国です。
026年10月にはオランダも年900ユーロへ上がる予定です。
追加調査では、シンガポールの増税分と、イギリスの2023年発表分が2024年の既存会員更新へ反映された例も見つかりました。
日本の16万5,000円はアメリカの895ドル、約14万3,800円より高く、世界的にも高い水準です。
しかも、2026年7月の大型改定では年会費は据え置かれました。
したがって現時点の結論は、日本の直近の値上げ可能性は低めです。
ただし、世界的な値上げ、過去の日本改定、インフレや円安の影響を考えると、中期的な可能性までは否定できません。
日本で次の大きな特典の刷新が発表されるときには、年会費がどうなるかも注目していきたいポイントです。











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