IHGが航空会社との会員サービスの連携を広げています。2026年4月にはANAとの提携強化を発表し、同年9月にはエア・インディアとの新提携も加わりました。
ただ、同じ「提携」でも、ホテルの上級会員資格がもらえるものと、宿泊でマイルを貯めるものは別です。
今回はIHGを中心に、シンガポール航空との既存の提携も含め、何が使えて、何がこれから始まるのかを見ていきます。
参照:ANA・IHGの共同発表/IHG・エア・インディアの提携発表
今回の記事は、2026年9月10日に確認した公式情報に基づきます。今後の動向次第で提携の内容等は変更となる場合があります。最新情報はIHGなどの各社の公式サイト等をご確認ください。
IHGの航空提携は、どこも同じ特典ではない
飛行機によく乗る人なら、ホテルでも少し良い扱いを受けられると嬉しいかと思います。
反対に、ホテルで貯まったポイントを次の航空券に回せれば、旅行の予算も組みやすくなります。
最近増え始めている航空会社とグローバルホテルチェーンの提携には、こうした使い方をつなぐ役割があります。
ただし、「提携している=相互に上級会員になれる」「宿泊すると両方のポイントが貯まる」ではありません。
まず、IHGとANA・シンガポール航空・エア・インディアの3社それぞれの提携の内容を比較すると、違いがはっきりします。
ここでは、IHGと3社の提携の内容を見ていきましょう。
| 比較項目 | ANA | シンガポール航空 | エア・インディア |
|---|---|---|---|
| 提携の位置づけ | 2026年4月に包括提携を発表。新特典は2026年10月以降、順次開始予定 | 既存のホテル・マイル提携 | 2026年9月4日に新提携を発表。 |
| IHGのステータス | ANA上級会員向けに付与予定。上位2区分は宿泊条件あり | 法人会員連携後、1泊でIHGゴールドエリート付与 | 新提携でのステータスマッチは発表されていない |
| ポイント・マイルの貯め方の特徴 | 対象となる海外発旅程のANA国際線で、ANAマイルとIHGポイントの二重取りを予定 | IHGの対象宿泊でKrisFlyerマイルを選んで貯める | IHGの対象宿泊でMaharaja Pointsを選んで貯める |
| IHGポイントから航空側へ | ANAマイルへの交換は既存サービス | KrisFlyerマイルへ交換可能 | Maharaja Pointsへ交換可能 |
| 航空側からIHGポイントへ | 新たに交換可能となる予定。レートは続報待ち | 確認できない | 今回の発表にはない |
参照:ANA公式発表/シンガポール航空のホテル提携一覧・IHG欄/エア・インディアのIHG提携ページ・規約

提携内容は大きく3種類。航空会社とホテルの提携で3つとも利用できるわけではありません。
ANA:ステータスと二重取り、相互交換まで広げる予定
ANAとIHGが2026年4月22日に発表したのは、単なるマイル交換先の追加ではありません。
両方の会員アカウントを連携し、上級会員資格、フライトでのポイント獲得、相互交換をまとめて広げる内容です。
発表日は4月ですが、新特典の提供は10月以降の予定です。
ANAのステータスに応じて付与されるIHGステータスは、次のように案内されています。
| ANAの保有資格 | 対応するIHGの資格 | 資格取得への宿泊条件 |
|---|---|---|
| ダイヤモンド+More | ダイヤモンドエリート | 最低2泊 |
| ダイヤモンド | プラチナエリート | 最低2泊 |
| プラチナ | ゴールドエリート | 発表文に追加宿泊条件の記載なし |
| ブロンズ | シルバーエリート | 発表文に追加宿泊条件の記載なし |
公式では「ステイタスマッチ」と案内されていますが、上位2区分については、登録だけでは対象ステータスを獲得できず、一定の宿泊実績を満たす必要があります。
また、現時点(2026年9月10日)では、SFC会員もステータスマッチの対象になる、あるいはIHGステータスからANAステータスももらえる、とは発表されていません。
もうひとつの注目は、対象フライトでANAマイルに加えてIHGポイントも獲得できる「ダブルディップ」です。
対象は、海外発旅程のANA国際線で、ANA便名かつANA運航便。
IHGポイントからANAマイルへの既存の交換に、逆方向の「ANAマイル→IHGポイント」が加わる予定ですが、新しい交換レートは発表待ちです。
ANAとIHGの連携強化については過去の記事でも詳しく解説していますのでぜひご参考ください。

シンガポール航空:宿泊でKrisFlyerマイルを貯める既存ルート
シンガポール航空とIHGの提携では、ホテル宿泊をシンガポール航空のマイレージプログラム「KrisFlyer(クリスフライヤー)」のマイル獲得につなげられます。
同社の公式案内では、対象利用額1米ドルにつき原則2マイル。ホリデイ・イン、ホリデイ・イン エクスプレス、キャンドルウッド スイーツ、ステイブリッジ スイーツは1マイルです。
また、10,000 IHGポイントを2,000 KrisFlyerマイルへ交換できます。最低交換数は10,000 IHGポイントです。
KrisFlyerマイルを貯めている人なら、IHGで貯まったポイントを特典航空券などに活用できます。
IHG宿泊でKrisFlyerマイルを直接貯める場合は、予約時またはチェックイン時にKrisFlyer会員番号を登録する必要があります。
なお、個人向けのKrisFlyerとIHG One Rewardsの間では、ステータスマッチなどの相互上級会員特典は確認できません。一方、法人向けでは別の仕組みがあります。
シンガポール航空の法人プログラム「HighFlyer」会員企業がIHG Business Edgeに新規登録すると、最初の対象宿泊1泊後にIHG One Rewardsのゴールドエリートへアップグレードできます。
個人向けはマイルを貯めたり交換したりする提携が中心ですが、法人向けではIHGのステータスアップ特典まで用意されています。
エア・インディア:9月に加わった新提携。貯める先を選ぶ方式
新しい動きは、2026年9月4日に発表されたエア・インディアとの提携です。
エア・インディアの会員プログラムは「Maharaja Club(マハラジャ・クラブ)」で、貯まるのはMaharaja Pointsです。
通常の対象宿泊では、対象客室料金1米ドルにつき原則2ポイント。キャンドルウッド スイーツ、ステイブリッジ スイーツ、IHG Residences、IHG Army Hotelsは1ポイントとなります。
ポイント移行は、1,000 IHGポイント→200 Maharaja Points。最低1,000 IHGポイントからなので、KrisFlyer向けとは最低交換数が異なります。
日本在住でも、公開規約上、居住国を理由とする除外は記載されていません。ただし、予約方法には注意が必要です。
- IHGのポイント獲得設定でエア・インディアを選び、有効な9桁のMaharaja Club番号を登録する。
- エア・インディアの提携ページにある専用リンクから予約する。一般の旅行予約サイトや旅行会社などからの予約は、同ページのオファー規約では対象外。
- 税金・手数料・飲食代などは対象利用額に含まれず、特典宿泊などの対象外料金もある。
- 同じ宿泊でIHGポイントとMaharaja Pointsの両方は受け取れない。予約時に貯める先を選ぶ。
宿泊ポイントの反映は宿泊後60〜90日、IHGポイントからの移行は60営業日以内と案内されています。
提携記念の3倍特典も発表されています。予約・宿泊期間は2026年9月15日〜12月31日で、9月10日時点では開始前です。
IHGの発表ではプロモーション登録が必要とされていますが、独立した登録フォームや登録完了画面までは確認できていません。
利用する場合は、提携ページから最新の登録方法を確認してから予約してください。
現時点では、ANAとの提携で発表されたようなステータスマッチや、Maharaja PointsからIHGポイントへの逆方向の交換はありません。
今回の提携は、IHG宿泊でのMaharaja Points獲得と、IHGポイントからMaharaja Pointsへの交換が中心です。
参照:エア・インディア公式・3倍特典の予約/宿泊期間/IHG公式・登録条件
「二重取り」と「ポイント交換」は別もの
ホテルチェーンと航空会社との提携では、「ポイントとマイルの両方が貯まる」のか、「どちらか1つを選ぶ」のか、「すでに持っているポイントを交換する」のかで仕組みが異なります。
二重取りは、1回の対象利用で2つのプログラムに新たなマイルやポイントが貯まること。ANAが予定している対象フライトでのダブルディップがこれにあたります。
一方、ポイント交換は、すでに持っている残高を減らして別のプログラムへ移す仕組みです。IHGポイントからKrisFlyerマイルやMaharaja Pointsへの移行はこちらです。

また、IHG宿泊時にIHGポイントではなく航空会社のマイルを選んで貯める方式もあります。この場合も、宿泊しただけでIHGポイントと航空マイルの両方が自動的に貯まるわけではありません。
例えば、今後もIHGに泊まる予定がある人と、あと少しで特典航空券に届く人では、選ぶべき貯め方も変わってきます。
IHGは、なぜ航空会社との提携を広げるのか
飛行機に乗る人に、ホテルも選んでもらいたい
ANA便で旅行する人が、到着後はIHGではない別のホテルチェーンに泊まる。これはごく普通のことです。
そのホテル選びの場面で、「IHGなら持っているANAのステータスを生かせる」「いつもの航空会社のポイントが貯まる」と感じてもらえれば、IHGを候補に入れる理由が増えます。
ANAとの共同発表でIHGは、会員との接点を増やして、IHGのホテルを選んでもらうことや予約の拡大につなげられると説明しています。
航空会社の会員に対して、宿泊のきっかけを作ることが狙いのひとつです。
ホテル側にとって、旅行のたびに予約してくれる会員は大切な存在です。IHGの2026年上期資料でも、会員は非会員よりホテルでの利用額が多く、直接予約しやすい傾向が示されています。
航空会社会員に、ホテルの上級会員特典やポイントを提供することは、その場のサービスで終わらず、次の予約をIHGでしてもらうための取り組みでもあると考えられます。
参照:ANA・IHG共同発表のIHGコメント/IHG・2026年上期決算資料

日本ではANA、インドではエア・インディア
同じIHGの航空会社との提携でも、市場ごとに相手や内容を変えている点は見逃せません。
ANAとの関係は、2026年にゼロから始まったものではなく、約20年にわたる協力関係を会員サービスへ広げるものです。
一方、エア・インディアとの発表では、IHGはインドを重要な成長市場と位置づけ、会員との関係を深めるとともに、IHGブランドへの支持を高めたいと説明しています。
ここからは分析ですが、IHGはホテルを増やすだけでなく、その市場の旅行者と継続的につながるため、航空会社との連携も広げていると見ることができます。
ただし、ANAで発表された特典が、そのままシンガポール航空やエア・インディアにも広がるとは限りません。
シンガポール航空はすでにMarriott Bonvoyと相互ステータス連携を行っているため、IHGでも同様のステータス連携が加わるかは未知数です。
一方、エア・インディアのMaharaja Clubでは、現時点でホテルプログラムとの相互ステータス連携は確認できません。
今回IHGとエア・インディアの新たな提携が始まったことで、今後ステータスマッチまで関係が広がるのかは注目したいところです。
ライバルも航空会社と連携。JAL×マリオットでは何がもらえる?
IHGが航空会社との連携を広げている一方で、競合するホテルグループも同じように航空会社との提携を強めています。
JALとMarriott Bonvoyではステータス関連特典や宿泊チャレンジ、ポイントとマイルの相互交換を展開。
ハイアットはエア・カナダ、アコーはカタール航空と組み、ステータス連携やポイントの二重取りまで踏み込んでいます。
ホテルと航空会社の提携は、単なるポイント交換だけではなく、ステータス、宿泊、フライトまで巻き込む形へ広がっています。
IHGの提携が他社と比べてどのような位置づけなのか、代表的な組み合わせを見てみます。
| ホテル × 航空会社 | ステータス連携 | ポイント・マイル連携 | 提携の特徴 |
|---|---|---|---|
| マリオット × JAL | あり。資格特典や宿泊チャレンジ | Marriott Bonvoyポイント ⇄ JALマイルの相互交換。FLY ONポイント関連特典も発表 | 双方でステータス獲得の機会があり、ポイント交換などまでカバーする幅広い提携 |
| ヒルトン × シンガポール航空 | なし | Hilton Honorsポイント → KrisFlyerマイル | ポイント移行が中心のシンプルな提携。相互ステータスマッチはない |
| マリオット × ユナイテッド航空 | あり | Marriott BonvoyとMileagePlusを連携 | Marriott上級会員にUnited Premier Silverなど、双方の上級会員向け特典を提供 |
| IHG × ユナイテッド航空 | 一部カード特典など | クレジットカードを軸にした特典あり | クレカを介した連携。IHGカードでUnited航空券に使えるクレジット、United上位カードでIHGプラチナ |
| ハイアット × エア・カナダ | あり。Aeroplan上級会員などからWorld of Hyatt資格へチャレンジ | ポイント交換や宿泊関連特典 | 条件達成型のステータスチャレンジが特徴。例:90日以内に20泊でグローバリストなど |
| アコー × カタール航空 | 条件付きであり | 対象宿泊・フライトで両方のポイントを獲得。相互交換にも対応 | ダブルディップ+相互交換+ステータス連携まで備える強力な提携。資格引き上げには条件・人数上限あり |
参照:JAL・マリオット共同発表/JAL・マリオットの既存ポイント交換/シンガポール航空公式・Hilton Honors欄/ハイアット・Aeroplan公式発表/カタール航空・アコー連携規約
JAL × マリオットのステータス連携例
日本の利用者にとって、特に気になるのはJALとマリオットでしょう。2026年7月の公式発表にある主要な対応は、次のとおりです。
- マリオットのアンバサダーエリート:年間40,000 FLY ONポイントを付与し、累積FLY ONポイントに応じてJALクリスタル以上へステータスマッチ
- JALダイヤモンド:マリオットのゴールドエリートへマッチ。さらに初年度のみ、6か月以内に10泊するとプラチナエリートを付与
JALダイヤモンドからマリオットのプラチナへ、宿泊なしでそのまま移行できるわけではありません。
「まず付与される資格」と「宿泊条件を満たした後に獲得できる資格」は、分けて考える必要があります。
提携は増えるだけでなく、相手や内容が変わることも
2026年9月9日には、ハイアットがデルタ航空との新たな提携を発表しました。新特典は今後開始される予定です。
その一方で、アメリカン航空との間で提供してきた、ステータス特典や特典交換などを含む追加の会員連携は終了へ向かいます。
ただし、アメリカン航空との提携そのものが完全になくなるわけではありません。ハイアットの宿泊でAAdvantageマイル(アメリカン航空マイル)を貯める通常の提携は、引き続き利用できます。
ハイアット・デルタ航空の発表/アメリカン航空との連携変更案内
ホテルチェーンが航空会社と提携する動きは、今後も続くと考えられます。
ホテル各社にとって、航空会社との提携は、新しい会員を取り込み、自社のロイヤルティプログラムを選んでもらうための手段のひとつになっています。
ステータスマッチ、ポイントの二重取り、相互交換など、どこまで魅力的な特典を用意できるかも今後の差別化につながりそうです。
各社の発表を比較していくと、ホテルの場所や料金だけでなく、普段利用する航空会社のステータスを活かせるか、マイルを貯められるかといった点も、ホテル選びの判断材料になりつつあります。
ここが利用者にとって大きな変化でしょう。
航空会社の利用実績が、ホテルでの待遇にもつながる時代へ
これまで航空会社のマイルとホテルのポイントは、交換したり、宿泊でマイルを貯めたりする関係が中心でした。
それが最近は、もう一段深いところまで広がっています。
航空会社をよく利用して上級会員になっていれば、そのステータスをホテルでも活かせる。反対に、ホテルの上級会員であることが航空会社での特典につながる提携もあります。
つまり、普段のフライトで積み上げてきた利用実績が、ホテルに到着した後の待遇にもつながるようになってきています。
IHGとANAの新しい提携も、その流れを象徴しています。ANAのステータスからIHG One Rewardsのステータスを獲得できれば、これまで航空会社の中だけで完結していた上級会員資格を、ホテル滞在にも活かせるようになります。
ホテル側のステータスが上がれば、対象となるホテルや条件によって、ボーナスポイントやレイトチェックアウト、客室アップグレードなど、滞在中のサービスにも違いが出てきます。
航空券を取るためだけにマイルを貯める、ホテルの無料宿泊のためだけにポイントを貯める。
そんな分け方ではなく、航空会社とホテルの利用実績をつなげて、旅行全体で受けられるメリットを広げる使い方がしやすくなってきています。
もちろん、すべての提携で同じような特典が受けられるわけではありません。
ステータスマッチには宿泊条件が付く場合もあれば、ポイント交換では交換比率や反映までの日数も異なります。
それでも、普段使っている航空会社がどのホテルグループと組んでいるかは、これまで以上に重要になりそうです。
同じ料金帯のホテルで迷ったとき、「航空会社のステータスを活かせる」「マイルも貯められる」「ホテルの上級会員特典まで受けられる」となれば、それ自体がホテルを選ぶ理由になります。
航空会社の上級会員資格は、空港や機内だけでなく、ホテルでの滞在まで含めて、旅行全体でメリットを受けられる方向へ。
IHGをはじめとするホテル各社と航空会社の提携は、そこまで広がり始めています。
まとめ
IHGは、ANAとの包括提携に続き、エア・インディアとも新たに連携し、航空会社の会員との接点を広げています。
マリオットやハイアット、アコーなどの競合ホテルグループも航空会社との提携を進めていますが、その内容はさまざまです。
ステータスマッチに強い提携もあれば、ポイントの二重取りや相互交換、宿泊実績に応じた上級ステータスを用意する提携もあります。
航空会社とホテルの連携が増えることで、旅行者にとって選択肢も広がっています。
大切なのは、提携先の多さだけを見るのではなく、自分が持っているステータスやポイントを、次の旅行でどこまで活かせるかを見ることです。
普段利用している航空会社の会員サービスまで含めてホテルを選べば、これまで以上に旅行全体でメリットを受けやすくなるでしょう。








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