IHGが京都を“侵略”へ?14軒一括リブランド、日本市場強化がさらに加速

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    京都のホテル地図が、この一年で大きく塗り替わりそうです。

    IHGホテルズ&リゾーツは、京都市内の14ホテル・計1,063室を今後12カ月で順次リブランドすると発表しました。

    これは、地方都市の既存ホテルのリブランド、2029年の大阪での3ブランド開業、ANAとの提携強化など、日本各地で続くIHGの市場強化に加わる新たな大型案件です。

    今回の記事のポイントは、次の3つです。

    • 京都14軒は同時開業ではなく、今後12カ月間にわたって改装を行い、順次開業する
    • 14軒すべてがIHGのポートフォリオに加わり、内訳はガーナー12軒、ホリデイ・イン エクスプレス1軒、ブランド名未定1軒
    • 京都だけの話ではなく、地方都市でのリブランド、関西での大型計画、ANAとの提携強化により日本市場の拡大を進める
    京都14ホテル・1,063室、ガーナー12軒などIHGリブランド案件の内訳
    目次

    IHGが京都市内の14ホテル・1,063室を一気に獲得

    IHGは2026年8月24日、Gaw Capital Groupのホテル事業を担うGCP Hospitalityと、京都市内14ホテルを対象にしたポートフォリオ契約を結んだと発表しました。

    「京都に14軒のホテルを新しく建てる」という話ではありません。

    すでに営業しているホテルを改装し、IHGのホテルへ切り替える大型リブランド案件です。

    項目発表内容
    対象京都市内14ホテル
    総客室数1,063室
    ブランド内訳ガーナー12軒、ホリデイ・イン エクスプレス1軒、ブランド名未定1軒
    開業時期今後12カ月で改装後に順次開業
    主な立地京都駅、四条、五条など
    運営GCP Hospitalityが14軒を統括

    公式の日本語発表では、最後の1軒を「ブランドを冠さない1軒のホテル」と表現しています。

    本記事では分かりやすく、IHGホテルとしてポートフォリオに加わるものの、ブランド名は現時点で未定の1軒として扱います。

    なお、14軒が同じ日に一斉オープンするわけではありません。発表日から約1年をかけ、改装を終えたホテルから順番に開業する予定です。

    個別の開業日、新しいホテル名、12軒のガーナーと1軒のホリデイ・イン エクスプレスをどの建物に割り当てるかは、まだ発表されていません。

    参照:IHG公式発表(英語)IHG・ANA・ホテルズグループジャパン公式発表(日本語)

    京都のIHGは4軒から18軒規模へ

    IHGは現在、京都市内で次の4ホテルを展開しています。

    • シックスセンシズ 京都
    • ANAクラウンプラザホテル京都
    • ホリデイ・イン京都五条
    • ガーナーホテル京都四条烏丸

    ここへ今回の14軒が加われば、京都のIHGポートフォリオは単純計算で4軒から18軒へ拡大します。増加率に直せば4.5倍です。

    さらに、83室のリージェント京都が2028年の開業を予定しています。

    リージェントは、インターコンチネンタルやシックスセンシズと並び、IHGを代表するラグジュアリーホテルブランドの一つです。

    計画どおり進めば、IHGは京都で、シックスセンシズやリージェントの超高級ホテルから、クラウンプラザ、ホリデイ・イン、ガーナーまでを一気にそろえることになります。

    京都のIHGホテルが現在4軒から今後18軒規模へ増える比較

    これは単にホテル数が増えるだけではありません。

    今回のリブランドによって12軒加われば、京都駅、四条、五条などで、観光にも出張にも使いやすいIHGブランドのホテルが急増します。

    ただし、現時点では宿泊料金や各ホテルのサービスの詳細等は未発表です。

    日本国内にあるガーナーホテルについては、比較的リーズナブルに宿泊が可能です。時期によっては、1泊5,000円から7,000円台で泊まることが可能です。

    実際に過去に日本で一番安いIHGについて調査した際もガナーのブランドではリーズナブルな料金を提供していました。

    どのM’s HotelsがIHGになるのか

    IHGは、現時点でリブランドととなる14軒すべての現ホテル名を公表していません。

    M’s Hotel公式サイトのホテル一覧と各施設の客室数を照合すると、今回の1,063室と一致する14軒は次のとおりです。

    対象ホテルの有力な一覧として整理しましたが、IHGによる正式発表前である点には注意してください。

    エリア現ホテル名客室数
    二条城エムズホテル 二条城OIKE42
    二条城エムズホテル 三条大宮86
    三条・東山エムズホテル 三条WAKOKU45
    三条・東山エムズイン 東山15
    三条・河原町ホテル グラン・エムズ京都130
    京都駅HOTEL The M’s KYOTO153
    京都駅エムズホテル 京都駅KIZUYA33
    京都駅エムズホテル 京都駅KASUGA61
    京都駅ホテル エムズ・エスト京都駅南81
    京都駅エムズホテル 京都駅TARUYA56
    四条烏丸ホテル エムズ・エスト四条烏丸105
    四条大宮ホテル エムズ・プラス四条大宮164
    五条エムズホテル 五条NAGINATAGIRI47
    五条エムズホテル 五条ODAWARA45
    合計14軒1,063室

    M’s Hotelの現行一覧には「ホテルグラッドワン京都七条 by M’s」も掲載されていますが、上表14軒だけで発表された総客室数1,063室と一致します。このため同ホテルは今回の対象外とみられます。

    ただし、ここで確定しているのはポートフォリオ全体の軒数と客室数です。

    各ホテルがガーナー、ホリデイ・イン エクスプレス、ブランド名未定のどれになるかは、今後の発表を待つ必要があります。

    対象とみられるM’s Hotels 14軒を京都市内5エリアに分けた図

    京都だけではない|日本市場で続くIHGの拡大

    今回の14軒は衝撃的ですが、IHGの日本での動きは京都だけに限られません。

    IHGの2026年上期決算資料によると、日本では2026年6月末時点で62ホテルが営業中、34ホテルが開業準備中です。

    上期だけで3軒を開業し、14軒を新たに契約しました。資料のブランド別説明では、ガーナー12軒を含む日本の14ホテル案件とされており、8月24日に公表された今回の京都ポートフォリオと一致します。

    つまりIHGは、日本で営業中と開業準備中を合わせて96軒まで積み上げています。

    京都14軒は、すでに日本各地で続いている拡大の中でも、とりわけ規模の大きい案件です。

    地方都市で既存ホテルを次々とIHGへ転換

    近年の特徴は、新築のラグジュアリーブランドのホテルだけでなく、地方都市の既存ホテルを改装してIHGブランドへ切り替える案件が非常に多いことです。

    開業日新しいホテル名旧ホテル名客室数
    2025年8月8日
    (グランドオープン)
    ANAホリデイ・イン岩手北上旧ホテルシティプラザ北上114
    2026年4月27日ANAホリデイ・イン神戸三田旧ザ・セレクトンプレミア神戸三田ホテル130
    2026年4月28日ANAホリデイ・イン鳥栖旧ホテルビアントス127
    2026年6月1日ANAクラウンプラザホテル知立旧ホテルクラウンパレス知立105
    2026年7月1日ANAクラウンプラザホテル浜松旧ホテルクラウンパレス浜松192
    2026年7月17日ホリデイ・イン エクスプレス札幌すすきの旧OMO3札幌すすきの by 星野リゾート223
    2026年8月1日ANAクラウンプラザホテル高知旧ザ クラウンパレス新阪急高知242

    知立、浜松、高知の3ホテルだけで539室。神戸三田と鳥栖は、それぞれの市で初の外資系フルサービスホテルとして開業しました。

    札幌では星野リゾートのOMO3だった建物が、大規模改装を経てホリデイ・イン エクスプレスへ変わっています。

    IHG自身も2026年4月の公式発表で、2026年に日本で開業するホテルはすべてリブランド案件だと説明しています。

    ホテルを新たに建てる場合には、用地取得から建設まで時間がかかります。既存ホテルを活用するリブランドなら、改装とシステム移行を中心に、より短期間で営業網を広げられます。

    京都14軒を今後12カ月で開業できるのも、この方法だからこそです。

    関西では京都14軒と大阪3ブランドを同時に進める

    IHGの関西進出は、今回の京都だけではありません。

    大阪市此花区では2029年、インターコンチネンタル、キンプトン、ホリデイ・イン リゾートの3ブランドを隣接して開業する計画が進んでいます。

    合計817室で、USJのオフィシャルホテルとなり、夢洲の統合型リゾートへも船または車で約10分の立地です。

    京都では既存ホテルを転換して短期間に14軒を増やし、大阪では2029年の大型新築でラグジュアリー、ライフスタイル、ファミリー向けリゾートを一度にそろえる。

    速さが必要な場所ではリブランド、長期の成長が見込める場所では大型開発と、展開する手法を使い分けています。

    なお、大阪3ブランド計画については、既存記事「IHGは10年後の大阪を見ている|3ブランド同時開業に込められた戦略を読み解く」でも詳しく解説していますのでご参考ください。

    ANAとの提携強化で、増えたホテルへ会員を送る

    ホテルを増やすだけでは、客室は埋まりません。IHGは2026年4月、ANAとの約20年にわたる関係を一段深め、包括的ロイヤルティ・パートナーシップを発表しました。

    2026年10月以降、次の特典が順次始まる予定です。

    • ANAマイレージクラブ会員からIHG One Rewardsへのステータスマッチ
    • 対象となる海外発ANA国際線で、ANAマイルとIHGポイントを同時に獲得
    • ANAマイルとIHGポイントの相互交換

    ホテル網の拡大とロイヤルティ提携は、別々のニュースに見えて実は相性が抜群です。

    ANA側は国際線を利用して日本にやってくる人たちに宿泊先と新しい特典を提供でき、IHG側はANAマイレージクラブ会員を全国のホテルへ送り込めます。

    京都に手頃な価格帯のホテルが12軒以上増えれば、ステータスマッチでIHG会員になった人が、実際に泊まる場所も増えます。

    ANA×IHGの特典と開始時期は「ANA×IHGが連携強化!ステータスマッチ・ダブルディップ・ポイント相互交換を解説」で整理しています。

    地方リブランド、京都14軒、ANA提携、2029年大阪を並列表示したIHG日本市場強化の図

    ガーナー12軒で、手頃な価格帯の選択肢も拡大

    IHGと聞くと、インターコンチネンタル、シックスセンシズ、リージェントのような高級ホテルを思い浮かべる人が多いかもしれません。

    一方、出張、1人旅、若い旅行者、価格を重視する訪日客まで選択肢を広げるには、手頃な価格帯のブランドも重要です。

    その役割を担うのがガーナーです。

    ガーナーは2023年8月に誕生したミッドスケール(中価格帯)のリブランド向けブランドです。

    リブランド前のホテルの個性をある程度残しながら、寝心地、Wi-Fi、朝食、24時間利用できる軽食やドリンクなど、旅行者が重視する部分へ絞って整えます。

    世界での増え方はかなり速く、2026年3月には開業100軒へ到達しています。

    IHG史上最速で100軒に達したブランドとなり、さらに約80軒が開業準備中です。開業中・準備中を合わせた進出国は12カ国に広がっています。

    主な展開例は次のとおりです。

    • ドイツではNOVUM Hospitalityの56ホテルをガーナーへ転換
    • イギリス、イタリア、トルコ、タイ、日本へ進出
    • 中国では北京798芸術区に1号店を開業し、上海・重慶・杭州でも展開
    • 日本では2025年に大阪3軒と京都四条烏丸を開業し、今回さらに京都12軒を追加

    京都の12軒が開業すれば、日本のガーナーは少なくとも16軒規模になります。

    ガーナーは、IHGがラグジュアリーだけでなく、手頃な価格帯まで選択肢を広げるうえで重要なブランドと考えると分かりやすいです。

    世界100軒開業・約80軒準備中のガーナーと京都12軒の位置づけ

    マリオットも日本で「手頃なブランド」を一括転換している

    一連の動きからもIHGはマリオットやヒルトンなどのグローバルホテルチェーンに対抗するためにも日本市場で様々な動きを見せています。

    グローバルホテルチェーンの中でも、展開数で世界一を誇るマリオットは、高級ホテルだけでなく、手頃な価格帯を強化しています。

    象徴的なのが「フォーポイント フレックス by シェラトン」です。マリオットはKKR(アメリカ投資会社)と組み、旧ユニゾホテルの14軒・3,600室超を同ブランドへ転換しました。

    2024年の大阪梅田を皮切りに、函館、盛岡、宇都宮、横浜、名古屋、金沢、京都、大阪、神戸、博多などへ一気に展開。2026年には国内16軒まで増えています。

    偶然とはいえ、マリオットも「既存ホテル14軒をまとめて手頃なブランドへ転換」、IHGも「京都14軒をまとめてリブランド」です。

    両社に共通するのは、建物を一から造るのではなく、既存のホテル群をまとめて自社の予約網とロイヤルティプログラムへ入れることです。

    高級ホテルでブランドイメージをつくり、手頃なホテルで会員が泊まれる都市と回数を増やす戦いになっています。

    マリオットはさらに、地域ホテルの名前を残しやすい「Series by Marriott」も展開し、2026年には大阪・心斎橋で日本1号店を開業しました。

    IHGだけがミッドスケール(中価格帯)を狙っているのではなく、世界的なホテルグループが日本の既存ホテルを自社の経済圏へ取り込む動きが強まっていると見た方がよいでしょう。

    旅行者にとって何が変わるのか

    IHGの日本市場強化は、旅行者にとって基本的には選択肢が増えるニュースです。

    京都でポイントを貯める・使う場所が増える

    紅葉や桜の時期は、京都のホテル代が大きく上がります。14軒がIHGへ加われば、ポイント宿泊の空室や必要ポイント数を比較できるホテルが増えます。

    ただし、ポイント宿泊枠と必要ポイント数は変動します。

    地方出張でもIHG修行がしやすくなる

    これまでIHGホテルが少なかった知立、浜松、高知、鳥栖、三田などの地方都市でもホテルが増えました。

    東京、大阪だけでなく、仕事や国内旅行の行程にIHGのホテルへの宿泊を組み込みやすくなります。

    ANA利用者がIHGを選ぶ理由が増える

    ANAとのステータスマッチやポイント連携が始まれば、ANAマイレージクラブ会員やマイル利用者にとってIHGが身近になります。

    ホテル数が増えるタイミングと会員特典の強化が重なる点は重要です。

    リブランド直後はサービス差にも注意

    同じブランドでも、改装範囲、客室の広さ、朝食、ラウンジ、アップグレード可能な客室数はホテルごとに違います。

    ブランド名だけで判断せず、開業後の公式ページなどを確認したいところです。

    まとめ|京都14軒は、日本市場強化を示す新たな大型案件

    IHGが京都で一気に14軒を増やすニュースは、確かに「侵略」と呼びたくなる規模の動きです。

    一方で、日本では京都の発表以前から、地方都市のリブランドや関西での大型開発、ANAとの提携強化が進んでいます。

    • 日本で62ホテルが営業中、34ホテルが開業準備中
    • 地方都市では既存ホテルを次々とIHGへリブランド
    • 京都では14軒・1,063室を今後12カ月で追加
    • 2029年には大阪で3ブランド・817室を開業予定
    • ANAとはステータスマッチやポイント連携を開始予定
    • ガーナーで手頃な価格帯まで宿泊者層を広げる

    この一連の動きからは、IHGが日本でラグジュアリーからミッドスケールまでブランドの幅を広げ、主要都市と地方都市の双方でホテル網を強化していることが分かります。

    京都14軒の新名称、ブランドの割り当て、開業日、予約開始日はまだ未発表です。

    今後1年は、京都のホテル名が次々とIHGへ変わる動きを追うことになりそうです。

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