IHG One Rewardsのステータス獲得には、一般的にホテルに一定数宿泊する必要があります。
例えば、部屋のアップグレードや宿泊によるボーナスポイントが40%付与されるプラチナエリートは通常40泊または60,000エリート資格ポイント、アーリーチェックインや無料朝食の特典があるダイヤモンドエリートは70泊または120,000エリート資格ポイントが必要とされています。
ただ、IHGでは通常より少ない宿泊数で上級会員資格が獲得できるFast Trackキャンペーンを提供しています。
そして現在、アジア諸国では、Visa、Mastercard、GrabVIPと連携したIHGのステータス獲得キャンペーンが実施されています。
現在行われているキャンペーンは、基本的に日本に住む人そのまま使えるわけではありませんが、IHGがアジア圏のユーザー獲得にかなり力を入れていることが見えてきます。
今回は、IHGのステータス獲得の短縮ルートとして確認できるVisa、Mastercard、GrabVIPのFast Trackキャンペーンを整理し、日本のIHGユーザーにとって今後どんな可能性があるのか考察していきます。
IHGステータスには通常ルートとFast Trackルートがある
通常ルートではプラチナエリートに40泊、ダイヤモンドエリートに70泊が必要

IHG One Rewardsでは、宿泊実績によってステータスを獲得するのが基本です。
通常ルートでは、シルバーエリート、ゴールドエリート、プラチナエリート、ダイヤモンドエリートとステータスが上がっていきます。
IHG公式では、ゴールドエリートは20泊または40,000エリート資格ポイント、プラチナエリートは40泊または60,000エリート資格ポイント、ダイヤモンドエリートは70泊または120,000エリート資格ポイントが条件として案内されています。
ただ、40泊や70泊という条件は、一般的な旅行者にとってはちょっとハードルがあります。
IHGのライバルであるヒルトンやマリオットは、アメックスと提携してカードを発行し、カードの保有や決済によってステータス付与しています。
また、マリオットのカードでは宿泊実績を付与し、より上位のステータスの獲得をショートカットできる仕組みも用意しています。
例えば、日本人にはお馴染みのではマリオットボンヴォイアメックスプレミアムカードの保有者には、毎年15泊分の宿泊実績を付与しています。
IHGでは、アメリカでクレジットカードを出していますが、宿泊実績は付与していません。
ただ、最近IHGが2026年6月にRevolutとの提携で出したデビットカードでは、5泊から15泊分の宿泊実績を付与しています。
参考記事

とはいえ、上述のデビットカードはイギリス居住者のみが発行可能で、日本人の発行は難しいです。
そのため、2026年7月現在、IHGでプラチナエリート以上のステータスを通常の宿泊実績で狙うには、出張が多い人や、IHG修行として宿泊数を積み上げられる人でなければ簡単ではありません。
ただし、プラチナエリートだけが目的であれば、インターコンチネンタル アンバサダーに入会する方法もあります。
12か月225米ドルまたは45,000 IHG One Rewardsポイントで入会でき、特典としてプラチナエリートが付与されます。
宿泊実績を積まずにプラチナエリートを獲得できるため、40泊を目指すより現実的な選択肢です。
一方で、ダイヤモンドエリートを目指す場合は、宿泊実績やエリート資格ポイントなど、別の条件を満たす必要があります。
提携パートナー経由で少ない宿泊数を目指せるケースがある
一方で、IHGは特定の提携パートナー経由で、通常より少ない宿泊数でステータスを獲得できるFast Trackキャンペーンを展開することがあります。
今回ピックアップするのが、Visa、Mastercard、GrabVIPと連携したルートです。

Visa向けIHG Fast Trackキャンペーン
まず確認できるのが、VisaとコラボレーションしたIHG Fast Trackキャンペーンです。
Visaのキャンペーンページでは、Visa InfiniteカードとVisa Signatureカードの会員向けに、一定条件を満たすことでIHG One Rewardsのプラチナエリートを目指せるFast Trackが案内されています。
Visa Infiniteカード会員が同一滞在期間中(2026年4月15日~2027年4月10日)に6泊のプロモーション対象宿泊を行うことで、IHG One Rewardsのプラチナエリートのステータスを獲得できる内容として表示されています。
プラチナエリートは通常40泊が必要なステータスです。
それが対象カード会員向けとはいえ、6泊で到達できるのであれば、かなり強いキャンペーンです。
例えば、1泊1万円でIHGのホテルに宿泊した場合、トータルのコストは6万円です。通常通り40泊するよりも大きくコストも時間も短縮できます。
また、Visa Signatureカード会員向けには、同一滞在期間中(2026年4月15日~2027年4月10日)に2泊のプロモーション対象宿泊を行うことで、IHG One Rewardsのゴールドエリートのステータスを獲得できます。
ただし、これは日本のVisaカード会員向けに広く開放されているものではありません。
対象は、シンガポール、マレーシア、タイ、スリランカ、韓国、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、オーストラリア、ニュージーランド、南太平洋地域で発行されたVisa Infinite/Visa Signatureカードの保有者です。
なお、対象国・地域に日本は含まれていないため、日本発行のカードは対象になっていません。
その他詳細については下記のキャンペーンページにてご確認ください。
参照:「Fast Track to IHG One Rewards Elite status with Visa」
https://www.visa.com.au/en_au/visa-offers-and-perks/ihg-hotels-resorts/177720
Mastercard向けIHG Fast Trackキャンペーン
次に、Mastercard向けのIHG Fast Trackキャンペーンです。
MastercardのWorld LegendおよびWorld Eliteカード会員は期間中(2026年3月2日~2027年4月10日)に6泊でプラチナエリート、World SelectおよびWorldカード会員は2泊でゴールドエリートを獲得できる内容として表示されています。
この内容もかなり強いです。
特にゴールドエリートは通常20泊が必要なステータスですが、対象カード会員であれば2泊で到達できる可能性があります。
プラチナエリートも通常40泊のところ、6泊で到達できます。
IHG修行目線で見ると、2泊や6泊という数字はかなり現実的で、手に届きやすいかと思います。
週末旅行、近場のホテルステイ、海外旅行の前後泊などを組み合わせれば、通常ルートよりもはるかに少ない負担でステータスに近づけます。
ただし、こちらのキャンペーンも日本発行のカードは対象外です。
対象となる地域は、インド、インドネシア、マレーシア、シンガポール、韓国、タイ、ベトナムで発行されたカードのみです。
その他詳細については下記のキャンペーンページにてご確認ください。
参照:「IHG Hotels & Resorts I IHG One Rewards:Exclusive Fast Track to Elite Status」
https://origin-apac.mastercard.com/en-ap/offers/IHG_Hotels___Resorts_I_IHG_One_Rewards_?Oid=202602260001&issuerId=201810190001&productId=201810200013
GrabVIP向けIHG Fast Trackキャンペーン
もうひとつ注目したいのが、GrabVIP向けのIHG Fast Trackキャンペーンです。
Grabは東南アジアで展開するライドシェアやデリバリーのサービスです。東南アジアに行った時には、一度は使われた方も多いかと思います。
Grabは2026年2月24日、GrabVIPプログラムに新しい提携特典を追加したと発表しました。
その中で、マレーシア、タイ、フィリピン、シンガポール、ベトナム、インドネシアのGrabVIPユーザーは、通常40泊が必要なIHGのプラチナエリートをわずか6泊で達成できる機会があると案内されています。
GrabVIPは、Grabの利用実績に応じて付与される上位ユーザー向けプログラムです。
Grab公式では、GrabVIPステータスは前四半期のGrab利用額に基づいて四半期ごとに付与され、対象となったユーザーにはアプリ内やメールで通知されると説明されています。
具体的な利用金額は公式には公表されていませんが、一部の国・地域での報告例では、月に日本円で約4万〜5万円、3か月合計で約12万〜15万円程度の利用が、GrabVIP獲得の目安とされています。
このキャンペーンで注目すべきは、IHGがホテル宿泊者だけでなく、Grabを日常的に使う東南アジアの生活者をIHG One Rewardsへ取り込もうとしている点です。
Grabは配車、フードデリバリー、決済など、東南アジアでは日常インフラに近い存在です。
そこを頻繁に利用するGrabVIPユーザーは、移動や外食、旅行との親和性が高い層でもあります。
IHGとしては、すでに日常消費の多いロイヤルユーザーに対して、6泊でプラチナエリートを目指せる導線を用意することで、上級会員として囲い込みたいという狙いがあると考えられます。
参照:「GrabVIP Programme adds exclusive partner privileges」
https://www.grab.com/inside-grab/stories/grabvip-programme-adds-exclusive-partner-privileges
いずれも日本向けキャンペーンではない
今回確認したVisa、Mastercard、GrabVIPのFast Trackルートに共通しているのは、日本に住む人に向けたのキャンペーンではないという点です。
VisaとMastercardでは、日本を除くアジア諸国のユーザーを対象とし、GrabVIPは東南アジア各国の上位ユーザーを対象としています。
対象国、対象カード、対象会員、登録条件があるため、日本に住む人が安易に飛びつくべきキャンペーンではありません。
ただし、重要なのは、キャンペーンで日本が対象外であることそのものではありません。
IHGは、現在アジア各地で、カード会社や旅行関連のサービスと連携しながら、ステータス獲得の近道を提供し、自社会員へと囲い込もうとしています。
日本ではANAとのステータスマッチが発表済み

日本では、VisaやGrabVIPとは別の形でIHGの上級会員への近道が用意され始めています。
2026年4月、ANAとIHGは包括的ロイヤルティパートナーシップを発表しました。
ANA Mileage Clubのステータス会員は、今後アカウント連携を行うことで、ANA側のステータスに応じたIHG One Rewardsステータスを受けられる予定です。
ANA ダイヤモンド + More、ダイヤモンド、プラチナム、ブロンズに対して、それぞれIHG One Rewards ダイヤモンドエリート、プラチナエリート、ゴールドエリート、シルバーエリートが対応するとされています。
※参考記事

これは、日本のIHGユーザーにとってかなり大きな動きです。
通常であればIHG プラチナエリートは40泊、ダイヤモンドエリートは70泊が必要です。
しかしANAの上級会員であれば、今回の連携の強化によってホテルへの宿泊実績とは別のルートでIHGステータスを得られる可能性が出てきました。
もちろん、ANAのステータスを獲得するには搭乗や条件達成が必要です。
それでも、日本ではカード会社などではなく、「ANAのステータス経由」でIHGステータス獲得ルートを設けました。
これは、IHGが日本市場ではANAとの関係をかなり重視していることの表れでもあります。
IHGはアジア圏の会員獲得を強化している
今回のVisa、Mastercard、GrabVIP、そしてANAとの提携を並べて見ると、IHGがアジア圏の会員獲得を強化していることが見えてきます。
アジア諸国ではカード会社経由。東南アジアではGrabVIP経由。日本ではANA経由。
それぞれの国や地域で、ユーザーが日常的に使っているサービスやロイヤルティプログラムと組み合わせて、IHG へ誘導しています。
このIHGの戦略はかなり合理的です。
ホテル単体で新規会員を増やすよりも、すでに一定額の消費のある層や旅行を頻繁に行うユーザー層を囲い込んだ方が、ホテルの予約にもつながりやすいからです。
IHGとしては、宿泊実績の多い出張者だけでなく、カード決済や配車アプリ、航空会社ステータスを持つユーザーまで取り込みたいはずです。
この流れは、今後も続く可能性があります。
今後、日本向けにも別のIHGキャンペーンが出る可能性はあるか
今回紹介したFast Trackキャンペーンは、日本に住む人がそのまま対象になるものではありません。
VisaやMastercardのキャンペーンは対象国・地域で発行されたカードが前提であり、GrabVIPも東南アジアの対象国ユーザー向けの特典です。
ただ、日本でも今後、別の形でIHGステータス獲得キャンペーンが出る可能性は十分にあります。
すでに日本では、ANAとIHGの包括的ロイヤルティ提携が発表されています。
今後はANAのステータスに応じてIHG One Rewardsのステータスを受けられる仕組みが用意される予定であり、日本市場では「航空会社ステータスからホテルステータスへ」という導線が作られ始めています。
この流れを考えるうえで、やはり見逃せないのがJALとマリオットの動きです。
2026年7月14日、JALマイレージバンクとMarriott Bonvoyはステイタスマッチを開始しました。

JALマイレージバンクとMarriott Bonvoyのアカウントを連携することで、条件に応じてポイントやステイタスを獲得できる仕組みです。
JAL側の公式案内では、JMBサファイア以上の会員にはMarriott Bonvoyのエリート資格が自動的に付与される内容も示されています。
つまり、日本市場でも航空会社とホテルグループの連携は、既に本格化しています。
JAL×マリオットがここまで踏み込んだステータスマッチを出してきた以上、ANA×IHG側でも今後、日本向けの追加キャンペーンや会員向け特典が出てきても不思議ではありません。

まとめ|IHGはアジアでステータス獲得ルートを広げている
IHGでは現在、Visa、Mastercard、GrabVIPなどを通じて、通常より少ない宿泊数でステータス獲得を目指せるFast Trackキャンペーンがアジア太平洋エリアで展開されています。
Visa・Mastercardのいずれもカード種別によって2泊でゴールドエリート、6泊でプラチナエリートを目指せる内容が確認できます。GrabVIPでは、東南アジア6カ国の対象ユーザーが6泊でプラチナエリートを目指せる特典が案内されています。
ただし、いずれも日本在住者向けに広く開放されたキャンペーンではありません。対象国、対象カード、対象会員、登録条件を満たす必要があります。
一方で、日本ではANAとの包括的ロイヤルティ提携により、ANAステータスからIHGステータスへのステータスマッチのルートが用意される予定です。
つまり、IHGはアジア各地で、その地域に合ったパートナーを通じて会員獲得を進めています。
日本のIHGユーザーにとって、今回の海外Fast Trackキャンペーンは直接使えるものではないかもしれません。
それでも、IHGがアジア各地でステータス獲得ルートを広げている流れは押さえておく価値があります。
今後、日本でもANAとの連携を起点に、新しいステータスキャンペーンや会員向け特典が出てくる可能性があります。
JAL×マリオットのステータスマッチが動き出したことで、日本でも航空会社とホテルグループの連携競争は一段進みました。
ANA×IHG側でも日本市場向けにどのような追加施策が出てくるのか注目したいところです。











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