2026年、アコーが日本市場に向けたサービスやキャンペーン、提携を相次いで発表しています。
年会費3万9,800円の有料会員プログラム「ALL Accor+ Explorer」を日本で本格展開し、Visa Infinite会員には6か月無料版を提供しています。
さらに、2026年秋からはアメックスプラチナカード(個人/ビジネス)の会員へALL Accorのゴールドステータスを付与する予定です。
日本国内では、マリオットを筆頭に、ヒルトン、ハイアット、IHGなどのグローバルホテルグループが強い存在感を持っています。
提携カードや上級会員ステータスを持ち、普段から利用するホテルチェーンをある程度決めている人も多いかと思います。
そこへ本格的に割って入ろうとしているのが、欧州に強いグローバルホテルグループのアコーです。
2026年の一連の発表は、単に「年会費の元を取りやすいプログラムが登場した」という話ではありません。
ALL Accor+ Explorer、Visa Infiniteでの無料版提供、アメックスプラチナでのゴールドステータスの付与と複数のルートを用意し、日本人旅行者との接点を一気に増やそうとしている点が重要です。
今後は、すぐにマリオットなどから全面的に乗り換える人が急増するというより、旅行先に応じて使い分ける「もう一つの選択肢」として、アコーを選ぶ人が増える可能性があります。
今回は、アコーが2026年に見せた日本市場での動きについて詳しく解説していきます。
参照:アコープラスのプレミアム有料会員プログラム「ALL Accor+ Explorer」、日本国内でのサービス提供を本格展開開始(アコー:2026年6月30日)

2026年、アコーは日本市場で会員獲得の入口を一気に拡大
2026年に発表された3つの施策を並べると、アコーが日本市場で何を狙っているのかが見えやすくなります。
| ルート | 費用・期間 | ALL Accorゴールド | 30泊分のステータスナイト(宿泊実績) | Stay Plus | 主な位置づけ |
|---|---|---|---|---|---|
| ALL Accor+ Explorer有料版 | 年3万9,800円・12か月 | 即時付与 | あり | 年2回 | アコーを本格的に使う入口 |
| Visa Infinite会員向け6か月版 | 無料・6か月 | 付与 | なし | なし | アコーを試す入口 |
| アメックス・プラチナ会員向け | カード特典・2026年秋開始予定 | 付与予定 | 発表なし | 発表なし | まずゴールドを体験する入口 |
「ALL Accor+ Explorer」は、無料宿泊、宿泊・飲食割引、ゴールドステータスなどをまとめた年間プログラムです。
Visa Infinite会員向け提供される6か月版は、有料版の主要の特典をすべて無料で開放するものではありません。
アメックス・プラチナもExplorer会員になる特典ではなく、ALL Accorのゴールドステータスが付与される予定です。
つまり、アコーは同じサービス・特典を値下げして配っているのではありません。
年会費を払って本格的に利用する人、Visaで半年間試す人、アメックス経由でステータスから入る人という複数の導線を作り、これまでアコーを優先していなかった日本の旅行者にも利用するきっかけを増やしています。
「ALL Accor+ Explorer」は、日本でアコーを選ぶ理由を一気に増やす
ALL Accor+ Explorerの日本向け年会費は3万9,800円(税込)、会員期間は12か月です。主な特典は次のとおりです。
- 2連泊以上で1泊分が無料になる「Stay Plus」を年2回
- 世界5,000軒以上、30以上のアコーブランドで公開料金から15%割引
- アジア太平洋地域とUAEの対象ホテルで「Red Hot Rooms」が最大50%割引
- 対象レストランで食事30%割引、ドリンク15%割引
- 毎会員年度30泊分のステータスナイト(宿泊実績)を付与し、ALL Accorゴールドへアップグレード
- 会員限定イベントや特別オファーへのアクセス
国内では、フェアモント東京、グランドメルキュール、メルキュール、スイスホテル南海大阪、プルマン東京田町などが参加施設として案内されています。

「30泊分のステータスナイト」は入会後すぐに付与される
有料版Explorerで付与される30泊分のステータスナイト(宿泊実績)は、公式情報で確認できます。
アコーの日本向け発表には「入会と同時に年間30泊分のステータスナイトが付与される」と明記されています。
公式FAQでは、新規会員は会員資格の作成から24時間以内、更新会員は更新処理の翌営業日に反映されると案内されています。
また、最初の1年だけの入会特典ではなく、Explorer会員資格を継続する限り、毎会員年度30泊分が付与される仕組みです。
ALL Accorでは年間30泊でゴールド、60泊でプラチナに到達します。このため、新規入会時点でゴールドに届き、その会員年度にさらに30泊すれば、宿泊数ベースではプラチナに到達できます。
ただし、ゴールドには無料朝食やラウンジアクセスが標準特典として含まれません。
アジア太平洋地域での無料朝食やラウンジアクセスは、原則として上位のプラチナからです。
参照:When will I receive 30 status nights with the ALL Accor+ Explorer programme?(Accor Plus公式FAQ:2026年8月11日確認)
「年間2泊無料」は、単独で使える宿泊券2枚ではない
Explorerの「Stay Plus」は、2連泊以上の対象予約で、そのうち1泊分が無料になる特典です。これを会員年度内に2回利用できます。
たとえば、1泊目が2万2,000円、2泊目が2万5,000円なら、対象条件を満たす場合は高い方の2万5,000円が無料になります。1泊だけの予約にStay Plusを使うことはできません。
さらに、次の条件にも注意が必要です。
- 無料になるのは客室料金のみで、朝食などは含まれない
- 対象ホテル、対象客室、在庫に限りがある
- 除外日がある
- 一部のリゾート、遠隔地、長期滞在型施設などは3連泊以上が必要
- 2回分を連続予約や並行予約で使うことはできない
- 会員年度の終了前に予約だけでなく宿泊も終える必要がある
- Stay Plus予約の有料宿泊分にはALLリワードポイントを充当できない
つまり、無料宿泊を1泊ずつ単独で使えるわけではなく、2連泊以上の予約で1泊分が無料になる特典を、年2回利用できるという仕組みになっています。
参照:Stay Plus FREE Nights/Stay Benefits Variations(ALL Accor/Accor Plus:2026年8月11日確認)
年会費3万9,800円は回収しやすいが、それだけが本題ではない
2回のStay Plusだけで年会費を回収すると仮定すると、無料になる1泊分の平均が1万9,900円以上なら、合計額は年会費3万9,800円を上回ります。
そのため、アコーで年2回の2連泊を組める人にとって、年会費を回収しやすい設計なのは確かです。
15%の宿泊割引やダイニング割引も活用すれば、リターンはさらに大きくなります。
ただし、今回の日本市場での戦略で注目すべきなのは「誰でも確実に得をするか」ではありません。
通常の宿泊実績をゼロから積み上げたり、日本独自の提携クレジットカードを保有したりしなくても、年会費を支払えば、Stay Plusによる宿泊特典や割引、ゴールドステータスをすぐに利用できます。
ALL Accor+ Explorer自体は、日本向けに新しく作られたサービスではありません。
今回注目すべきなのは、アコーがこの既存プログラムを日本で本格展開し、ホテルの開業拡大に続いて、会員制度を通じた日本の顧客獲得にも力を入れ始めたことです。
一方で、1泊旅行が中心の人、日程を固定しにくい人、対象外日と重なりやすい人は、候補ホテルと宿泊日を検索してから入会した方がよいでしょう。
Visa Infiniteの6か月無料版は、有料版Explorerと同じではない
Visa Infiniteカード会員には、ALL Accor+ Explorerを6か月無料で利用できる優待があります。
優待期間は2026年6月1日から2027年9月30日まで。数量限定で先着順と案内されており、6か月の会員期間は専用ページで登録を完了してから始まります。
名称に「ALL Accor+ Explorer」と入っているため、年会費3万9,800円の有料版をそのまま6か月無料で使えるように見えます。
しかし、Visa Infinite会員向けは特典を絞った6か月版であり、元の有料版と同じ内容ではありません。
6か月版でも、世界5,000軒以上での15%割引、Red Hot Rooms、対象レストランでの割引、ALL Accorゴールドなどを利用できます。
一方、次の2つは明確に対象外です。
- 年間2回のStay Plus(2連泊以上で1泊無料)
- 30泊分のステータスナイトの付与
つまり、Visa Infiniteで提供される無料版では無料宿泊特典を利用できません。
また、ゴールドステータスは得られますが、30泊分の宿泊実績を受け取るわけではないため、有料版のようにプラチナ到達へ向けた近道にはなりません。
Visa Infiniteをすでに持っているなら、アコーの予約画面、ホテルでのゴールド特典、レストラン割引を試す入口としては魅力があります。
半年間使って自分の旅行スタイルと相性が良いと分かれば、その後に有料版を検討する流れが自然です。
参照:ALL Accor+ Explorer|Visa Infinite優待(Visa:2026年8月11日確認)
アメックス・プラチナは2026年秋からアコーゴールドを追加予定
アメリカン・エキスプレスは、プラチナカードの「ホテル・メンバーシップ」にALL Accorゴールドを加える予定です。
日本の公式ページが示している開始時期は、2026年秋。2026年8月11日時点では、具体的な開始日や登録方法はまだ発表されていません。
個人向けプラチナだけでなく、ビジネスプラチナカードの公式ページにも2026年秋開始予定と掲載されており、個人とビジネスカードの両方で付与される見込みです。
アメックス・プラチナは、マリオット・ボンヴォイ、ヒルトン・オナーズ、Radisson Rewards、Seibu Prince Global Rewardsなど複数のホテルステータスをまとめて持てるカードです。
ホテルや旅行をよく利用する人が保有するカードにアコーのステータスが加わることで、これまでアコーを優先していなかった層にも体験してもらえる可能性が増えます。
メンバーシップ・リワードからALL Accorへのポイント移行も始まっています。
日本発行カードでは、メンバーシップ・リワード・プラス登録済みなら3,500ポイント=1,000 ALL Accorリワードポイント、未登録なら7,000ポイント=1,000ポイントです。
ここでも重要なのは、アメックスで提供されるのはゴールドステータスで、ALL Accor+ Explorerのプログラムではないことです。
参照:プラチナ・カード 特典・サービス改定のご案内(アメリカン・エキスプレス:2026年8月11日確認)

実は布石は以前からあった|2024年に全国22軒を一斉開業
2026年のサービスやカード提携だけを見ると、アコーが突然日本市場で攻勢を始めたように見えます。
しかし、ホテル網を拡大する布石は以前から打たれていました。
2023年、アコーは旧ダイワリゾートのホテル群をグランドメルキュールとメルキュールへ転換する契約を発表しました。
当初は23施設、6,000室超を加え、日本のポートフォリオを倍増させる計画でした。
実際には2024年4月1日、「グランドメルキュール」と「メルキュール」合わせて全国22軒が一斉開業しています。
既存ホテルのリブランドという形を取ったからこそ、北海道から沖縄までのネットワークを短期間で一気に作ることができました。
その後も、2025年7月には日本初のフェアモントとなる「フェアモント東京」が開業。2026年3月時点で、アコーは国内46軒・10ブランドを運営しています。
2028年には日本初のラッフルズとなる「ラッフルズ東京」、2030年と2033年には白馬でノボテル2軒の開業も予定されています。
つまり、2026年のExplorer本格展開やカード提携は、会員制度だけのニュースではありません。
泊まれるホテルを先に増やし、その後に有料会員とカード提携で利用者を増やす。 この順番で見ると、アコーの日本戦略はかなり一貫しています。
参照:グランドメルキュール・メルキュール全国22軒が2024年4月1日一斉開業(アコー:2024年3月28日)
アコーは欧州に強い|世界のどこでも万能というわけではない
アコーを「2つ目のホテルプログラム」として考えるうえで、ホテル網の地域差は重要です。
アコーの公式ホテルポートフォリオによると、2025年末時点のホテル数は、欧州・北アフリカが全体の54%、アジア太平洋が30%を占めています。
アコーは世界各地で展開するグローバルグループですが、特に欧州で強く、アジア太平洋にも大きなネットワークがあります。
一方、旅行先によってはマリオット、ヒルトン、IHG、ハイアットなどの方が選択肢が多い地域もあり、アコーだけですべての旅行先をカバーできるわけではありません。

これはアコーの弱点であると同時に、日本の旅行者にとっては補完関係を作りやすい理由でもあります。
普段はマリオットやヒルトンを使いながら、欧州旅行、アジア太平洋の一部都市、日本国内のグランドメルキュールやメルキュールが便利な地域ではアコーを選ぶ。
ホテルブランドを一つに固定するより、訪れる国や都市に応じて使い分けた方が、立地や価格の選択肢を増やせます。
参照:Accor Hotel Portfolio – December 2025(Accor:2025年12月末時点)
マリオットから全面移行ではなく「2つ目」として加わるか
日本の旅行者の間では、グローバルホテルチェーンの中でもマリオットやヒルトンは、アメックスとの提携のクレジットカードを通じて強い存在感を持ってきました。
日常のカード決済からステータスや無料宿泊へつながるため、ホテル選びそのものがカードと一体になっています。
IHGも2026年10月以降、ANAとのステータスマッチ、ダブルディップ、ポイント相互交換を順次始める予定です。
日本の最大手航空会社と組み、ホテル会員を増やす戦略です。

アコーの方法は少し違います。
アコーは、日本国内でホテル網を広げるだけでなく、有料会員制度やカードによる特典、ポイント移行といった複数の入口を用意し、これまでアコーを利用してこなかった旅行者にも、宿泊実績を何十泊も積む前から「一度使ってみる理由」を作っています。
アコー自身も、金融パートナーとの提携は新しい利用者との接点を広げ、会員による直接予約を増やす成長手段だと説明しています。
では、これまでマリオットなどを愛用してきた人たちが一斉にアコーへ乗り換えるのでしょうか。
短期的には、全面的な乗り換えよりも「もう一つの選択肢」としてアコーを加える人が増える可能性の方が高そうです。
ホテルは、場所や国によって選べるブランドが大きく異なります。
普段使っているチェーンが旅行先の便利な場所にないこともあれば、同じ都市でも別チェーンの方が立地や価格で有利なこともあります。
「ALL Accor+ Explorer」は、マリオットなどの提携カードを解約しなくても1年単位で追加できます。
アコーが強い欧州、アジア太平洋の一部、国内リゾートを訪れる年に加えれば、既存のホテルプログラムを補完できます。
一方、1泊旅行が多い人、無料朝食やラウンジをゴールドに期待する人、アコーの対象施設が旅行先に少ない人には向きません。
すでに別チェーンのカード特典を十分使えているなら、無理に年会費を支払い、ステータスを増やす必要もありません。
まとめ|アコーは日本で「ホテル網」と「利用する入口」の両方を拡大
2026年のアコーは、日本市場に向けて提携やサービスの発表を続けています。
有料版ALL Accor+ Explorerで、無料宿泊、割引、30泊分のステータスナイト、ゴールドをまとめて提供。
Visa Infinite会員には、Stay Plusと30泊分の宿泊実績の付与を除いた6か月無料版を用意し、アメックス・プラチナ会員には2026年秋からゴールドステータスを付与する予定です。
その土台には、2024年のグランドメルキュールとメルキュール22軒一斉開業がありました。
まず日本国内で泊まれる場所を増やし、次に複数の会員獲得ルートを作る。アコーは段階を踏んで日本市場での存在感を高めています。
有料版Explorerは、年に2回の2連泊を組める人なら年会費を回収しやすいサービスとなっています。
アコーは欧州では非常に強く、アジア太平洋でも大きなホテル網を持つ一方、ほかの地域ではマリオットなどの方が使いやすい場合もあります。
だからこそ、既存のホテルプログラムをすべて捨てて乗り換えるのではなく、旅行先に応じて使い分ける「もう一つの選択肢」として加える方が現実的でしょう。
次の旅行先で普段使っているブランドのホテルが見つからないとき、アコーまで選択肢を広げてみる。
2026年の日本市場への徹底攻勢によって、そういった使い方が以前よりずっと簡単にできるようになってきました。










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