日本国内では外資系ホテルを見かける機会が増えており、世界有数のホテルチェーンであるマリオットやヒルトン、ハイアットも東京や京都などの都市部だけでなく、地方都市へも進出しています。
そして、IHGもまたここに来て攻勢をかけてきました。
2029年に大阪市内に、インターコンチネンタル、キンプトン、ホリデイ・インリゾートの3ブランドをまとめて開業するということが明らかになりました。
しかも、別々の場所ではなく2棟のホテルを建設し、その中に3つのブランドが入ることになっています。
例えば、道路を分け隔て同じグループのホテルが立っているというケースは大都市であれば良くありますが、同じグループのホテルがこのように隣り合っているどころかまとめられているケースは珍しいです。
※参考
「USJ近くに英IHGが国内最大級ホテル 29年開業、大阪IRから誘客(日本経済新聞:2025年12月19日)」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF178DA0X11C25A2000000
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や2030年に開業が見込まれるカジノを含む統合型リゾート(IR)のある夢洲に近い場所で開業するため、周辺施設の利用客を取り込もうという意図が見受けられます。
今回のIHGの動きをさらに詳しく紐解いていきます。
外資系ホテルでは異例|IHGが3ブランドを同一エリアに集約する理由
外資系ホテルは「買収・リブランド」が主流な理由
日本で外資系のホテルが新たなホテルを開業する場合、手っ取り早い方法として既に運営しているホテルを買収するケースが多くあります。
ホテルの買収後にリフォームを経てリブランドという形で出店します。
1から建設する必要はないので出店までの時間とコストを大幅に圧縮できます。
例えば、品川にある東京マリオットホテルは、元々は「御殿山ガーデン ホテルラフォーレ東京」というホテルでしたが2013年12月にリブランドされました。
新しくホテルを建設する場合には、やはり費用と時間がかかるので、最近ではマリオットやヒルトンなどの国際ブランドでは、リブランドの手法を多くとっています。加えて、昨今のインフレによって建設にかかる費用も上昇しています。
建設費高騰でもIHGが“新築×3ブランド”を選んだ背景

「ホリデイ・イン&スイーツ新大阪(2025年2月撮影)」-大阪のIHG界隈に新たな仲間が…
昨今では建設費が高騰するという状況でもIHGは大阪に3つのブランドが入る巨大なホテルを1から作ろうとしています。しかも同じブランドが隣接する形です。
世界を探せば、道を挟んでマリオット系ホテルが向かい合う、ヒルトン系ホテルの反対側の建物がヒルトン系ホテルなどケースはあります。
ただ、今回のように同じ建物に複数ブランドはとても珍しいケースです。
IHGは、大阪で3ブランドを同居させて全てのニーズを取り込もうとする意図が見られます。それぞれのブランドのターゲットは以下の通りです。
| ブランド名 | ターゲット |
|---|---|
| インターコンチネンタル | ラグジュアリー・富裕層 |
| キンプトン | 大人向けラグジュアリー |
| ホリデイ・イン・リゾート | ミドル層・ファミリー/長期滞在 |
なぜIHGは「大阪の未来」に賭けたのか
夢洲IR・万博後を見据えた長期視点
IHGが2029年に大阪に3ブランドをまとめて開業する背景には、「大阪」という都市の将来性を相当見込んでいるという経緯があります。
IHGの新ホテルは夢洲やUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)にアクセスしやすい場所で開業する予定です。
2025年に開催された大阪・関西万博の跡地である夢洲は、既にご存知の方も多いかと思いますが、日本初のカジノを含む統合型リゾート(IR)が2030年に開業する予定です。IRにはカジノのほか、大規模な国際会議場も設けられる予定です。
巨大な施設の近くに、新たなホテルを建てることで観光やビジネスの宿泊需要を取り込もうとしている意図が感じられます。
梅田・新大阪・難波で進む再開発の実態
夢洲エリアだけでなく他にも大阪各地では再開発が進められています。中でもホットなエリアは梅田や新大阪、難波周辺です。
私も2025年2月に梅田に行きましたが、かつて貨物の駅があった場所では再開発が進められていました。うめきた公園という都市部では大きな公園に生まれ変わりました。

「ロートハートスクエアうめきた(2025年2月撮影)」-うめきた公園のシンボルとなるイベントスペース
公園以外にも、商業施設やホテル、マンションなどが次々に新しく作られています。
今後、新たな鉄道路線の開業の予定もあり、新大阪から十三を経由して大阪までを結ぶ新大阪連絡線や、大阪から難波・新今宮までを地下を経由して結ぶなにわ筋線が計画されています。路線の整備で新大阪や関西国際空港へのアクセス性の向上が期待できます。
このように、大阪では万博後の夢洲IRを起点に、梅田・新大阪・難波を含めた広範囲で再開発が進んでいます。
IHGは、こうした「現在の賑わい」ではなく、2030年前後に本格化する観光・ビジネス需要の拡大を見据え、今の段階で手を打ってきたと考えられます。3ブランドをまとめて開業するという異例の判断は、大阪という都市が次のステージに進むことを前提にした、長期目線の投資だと言えるでしょう。
まとめ|IHGの3ブランド展開は、大阪が次のステージに進むサイン
今回は、IHGの大阪での3ブランドの展開について取り上げていきました。
外資系ホテルの日本市場への進出は、近年激化しています。
東京や京都、大阪などの都市部だけでなく、地方都市でも相次いで開業しています。
外資系ホテルのステータスホルダーの方からすれば嬉しいかもしれませんが、アパホテルをはじめ日系のホテルにも負けずに頑張って欲しいと思います。
今後もIHGをはじめ外資系ホテルの面白い動きはピックアップしていきますので乞うご期待ください。
※参考資料
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF178DA0X11C25A2000000
https://www.westjr.co.jp/railroad/project/project16

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